河津桜が開花いたしました！！（サクラと日本文化のこぼれ話）

Vol. 75：2015.03.04(水)

大宝殿前、門前駐車場の河津桜が咲きそろってまいりました。

山桜に近い品種の河津桜は約１ヶ月ほどの花期があります。

（撮影：門前駐車場付近）


サクラという語は「サ」は田の神、穀霊として、「クラ」は神座としての意味があります。
つまりサクラは穀霊が宿り、花を咲かせる神聖な木とされてきました。

（撮影：大宝殿前）


古より、私たちの祖先は農耕生活を営んできました。農耕期が始まる季節に山々に満開に咲きそろう桜の花は
秋にたわわに稔る稲穂の収穫の吉兆として捉えられてきました。

（撮影：大宝殿前）


また、桜は平安時代編纂の歌集「万葉集」に多数詠われています。

富士山の歌でも知られる 山部宿禰赤人はこのような歌を残しています。

あしひきの山桜花、日並べて、かく咲きたらば、いと恋ひめやも（作：山部宿禰赤人）

こちらの歌は恋慕う気持ちを桜が咲く様で表現した作品であり、日本語の美しさが際立ちます。

その他にも多くの作品が桜そのもを美的景物として鑑賞するよりも、
桜が咲き・散ることに対して強い感情が伺えます。
このような桜に対する感情は現代に生きる私たちの中に脈々と受け継がれています。

桜が咲くこと喜び、散ることを惜しむ。

これらの心情は１０００年以上前の万葉の時代にはすでに表現されていました。
このように私たち日本人が愛する桜は多くの麗しい日本文化を形成してきたことがわかります。

これから桜の季節となってまいります。是非とも豊かな心で桜を鑑賞して下さい。